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首都大学東京 光の塔の謎

(今回は長文になりますがご勘弁を)

南大沢の首都大学東京の入り口右手にそびえているのが、光の塔である。
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この塔を見て不思議に思っていることがいくつかあった。
この塔には、大きな立派な日時計がある。
駅側を向いている面が午前中用の日時計、側面が午後用の日時計である。
影の長さで、夏至や冬至、春分秋分の季節がわかるようになっている。
最初は良くわからなかったが、ここまでは見ているうちにわかってきた。
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ところが謎なのは、精密に見える日時計なのだが、いつも15分とか20分進んでいて時間があっていないのである。
まあ、日時計だから数分は仕方ないと思うのだが、20分は違いすぎるのではないか。
もうひとつ、そこに大きな8の字があるがこれは何なのだろう。
下の写真は、日時計の棒の影は12時丁度を指しているが、3月22日の11時45分に撮影したものである。
15分進んでいる。
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そして、光の塔と言うが何が光なのだろう。
特別にライトアップされているわけではないので、夜になると光り輝くというわけでもない。

と不思議に思ったのが4年半前で、ホームページ南大沢の自然の「日時計」という記事にした。
それ以来、特に調べることもしないで、謎のままであった。
ところが、今年の3月になって、すべての謎が解決した。

突然、この日時計を設計した須藤さんと言う方からメールを頂き、疑問が解けた。
4年半前の記事を見つけて、親切にも教えてくれたのである。
まず、日時計が進んでいるのは、南大沢で太陽が南に来たときを正午としているとのことである。
当然、南大沢は日本の標準時の明石よりは東にあるので南中時刻は早くなる。
日時計といえども、われわれが使う時計に合わせるものと思い込んでいたので、これは狂っていると決め付けてしまったのだった。
南大沢では、12時に太陽は真南ではないと言うことすら忘れかけていた。
われわれの使用している時刻は標準時であって、南大沢の自然のリズムでの時刻ではない。

この日時計は垂直の壁にあり、12時は垂直線であり、太陽の影を作る棒は地軸に平行と言うことは北極星を向いている。(磁石の北ではない)
8の字は標準時正午のアナレンマとのことである。
アナレンマとは、毎日定時に太陽が落とす影が1年を通して描く軌跡だそうです。
これは、地球が楕円軌道で公転しているから8の字になる。
棒の影の先端がこの8の字に達したときが、腕時計の12時と合っていると言う事です。

もうひとつの謎、光の塔ですがこれは外観からではわからない。
二つの日時計の間に丸い穴が開いていて、この穴から塔内に届く太陽の光が正午に描くアナレンマが床に書かれている。
つまり、冬至の12時に太陽の光はここ、夏至にはここに届くと真鍮のプレートで表示されていた。
毎月の位置が8の字になっている。
太陽の光を利用しているピラミッドや、インカの遺跡を思い出してしまった。
3月22日の正午に、ちょっとのぞかせてもらったら、春分を過ぎてしまっていたのでプレートから少し夏至側にずれていた。
太陽を背にして撮ったので、奥側が太陽の位置が低くなる冬で、手前が夏の12時に光の当たる毎月の位置のアナレンマ。
光の少し奥の真鍮のプレートが春分と書かれている。
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もうひとつこの塔の中には大きな振り子時計があった。
時間になるとパイプオルガンを奏でると言う。
残念ながら、現在故障中で聞くことは出来ない。
須藤さんは、パイプオルガンの製作者で、この振り子時計の製作にもかかわっており、是非予算を取って修理をさせて欲しいと大学に申し出ているそうだ。
この写真の中央右側の丸い穴から光が入り、床の光っているところに届いている。
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都立大が出来て以来、何度も通りかかっているが、これらのことはまったく知らなかった。
須藤さんから見せていただいたこの光の塔の提案書の中に「季節の変転と時の巡ることを感じさせ、人の住む大地の動き、宇宙の神秘を思い起こさせてくれる日時計を外壁に、時を美しく刻む振り子時計を内壁に持つことはこのシンボルタワーの意図に正しく相応しいものとして提案致します。」とあった。
せっかく、完成したこの光の塔の趣旨を多くの人が知らないことは残念に思う。
この前を通る人は一日に何千人もいると思うのだが、この日時計や光の塔のことを知っている人はどのくらいいるのだろうか。
こんなすばらしいものを、南大沢に住んでいて知らないなんてもったいない。
首都大学でも、是非地域の人に知らせたり公開したりして欲しいと願う。
日時計の簡単な説明版を設置すれば興味を持つ人もいると思う。
何よりも、科学離れと言う今の子供たちに見せて、「科学って面白い」と思ってもらいたいと考える。
じつは、自分も子供の頃に星座やプラネタリウムに興味を持って科学好きになった経過がある。

興味をもたれた方は、じっくりと日時計を見て、そして光の塔をちょっとだけのぞいて見られてはいかがですか。

須藤さんのホームページにもこの件について書かれていた。

また、設計者の須藤さんの了解を得て、頂いたメールの一部を以下に紹介します。
(改行等一部修正させていただきました。)
***********************************************
1991年の都立大移転の時にご縁があって、日時計と 塔内のアナレンマと振子時計を作っております。
アナレンマは 毎日定時に太陽が落とす影が1年を通して描く軌跡です。
都立大の日時計に付いている8の字型の表示は標準時正午のアナレンマです。
> ところが、時刻が20分くらい進んでいるようだ。
> 垂直なので、壁の方角が決められてしまうので、難しいのだろうか。
  と記しておられますが、この日時計は南大沢時間で表示しています。
正午12時が垂直線になっております。要するに 南大沢で太陽が南中する時を示します。
地球は主に太陽の周りを楕円軌道を描いて公転している関係で、毎日多少のずれがでます。
これを均時差と言います。均時差を平均化したのが平均太陽時です。
年間でアナレンマの巾に相当する均時差があります。
したがって、明石と南大沢の間の時差ほぼ19分+その日の均時差 だけこの日時計の表示はずれることになります。
日時計と振子時計の意義を説明する表示を提案していますが、今もって受入れられません。 残念です。
貴殿のWebサイトの左下の写真には日時計の間に黒い縦長の部分が写っています。
ここには30cmの丸窓が作ってあります。
ここからの標準時正午の太陽は光の塔(日時計の付いているシンボルタワーの名称)内部の床に落ちてアナレンマを描きます。
床には季節毎のアナレンマが真鍮の円盤で記してあります。
冬至は塔の床から外れて階段下にまで伸びます。 完成後当時の学長さんが冬至に見に行って下さったそうです。
きれいに合っていたとお褒めの言葉をいただきました。
一度入ってご覧ください。
自動オルガン付き振子時計は メンテナンスをさせてくれなくて現在故障中です。
先日依頼を受けて調査に行きましたが、惨憺たる現状でした。
来年大規模保守作業の予算が付くと良いとおもっております。

須藤 宏 Hiroshi Suto
***********************************************

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コメント

日時計らしいものがあるな、でも単なる飾りだろうな、とおもって見ていましたから、ちゃんと機能しているということはユメにもおもっていませんでした(笑)

投稿: sなか | 2008.04.14 17:11

sなかさん、こんばんは。
私も、最初はしゃれた、そして凝った飾りと思っていました!
晴れているときにじっくり見てください。

投稿: | 2008.04.14 20:12

時計台の中に一直線に光が漏れて、
季節を知らせてくれるのは前から知っていました。
でも、外壁が南大沢標準時だとは知りませんでした。
牧野標本館、飼育棟、広場Aの丘、イモリの池など、
首都大(都立大)は色々奥が深そうです。

投稿: 緑の惑星人 | 2008.04.23 23:32

追伸:大学内の劇団サークル名は「時計」。
よく時計の下でも練習をしているそうです。

投稿: 緑の惑星人 | 2008.04.23 23:39

緑の惑星人 さん、こんばんは。
お久しぶりです。
そうですね、都立大侮るなかれですね。
ホタルも、アライグマもいるようですが、まだお目にかかっておりませんのでいつかはと思っています。

投稿: | 2008.04.24 21:42

御無沙汰しております。
首都大学東京の振子時計、工房に持ち帰り
修理などを行っております。 1月後半には取付に行く予定にしております。
時計などは完全にばらばらにしました。
工房ではすでにオルガンがハイドンの曲を奏でるまでになっております。

よい新年をお迎えください。

投稿: 須藤 | 2009.12.23 13:29

須藤さん、コメントありがとうございます。

そうですか良かったですね。
外装や内装の修繕をしていたので振り子時計も修繕すると思っていたら、修繕が終わっても壊れたままでした。
残念に思っていたところです。
修理が終わるのを楽しみにしています。

投稿: | 2009.12.23 18:23

振子時計修理、昨日完了しました。

機会を見つけて訪ねてやってください。
昨日はちょうど正午に現場に居ましたんで、塔内の床に陽が落ちてアナレンマにきれいに合うのを見ることができました。自分でも見る機会が少ないのでうれしく思いました。

投稿: 須藤 | 2010.02.08 10:27

須藤さん、こんにちは。

振り子時計修理完了のご連絡ありがとうございます。
早速見に行きます。
大変楽しみです、そして記事をまた書きます。

投稿: | 2010.02.09 12:20

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